最高裁判所第二小法廷 昭和28年(あ)5322号 決定 1954年6月02日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人沢田建男の上告趣意は、違憲をいうが、如何なる理由により憲法の如何なる条項に違反するか述べていないから適法な上告理由にならない(昭和二五年(あ)一一〇号同年七月二五日第三小法廷判決)ばかりでなく、選挙権の停止、不停止は刑法九、一〇条にいう刑ではないこと所論のとおりであるが、刑訴三八一条にいう刑の量定は広義であって、罰金の換刑処分、未決の通算、刑の執行猶予等を含む概念であることは累次の判例であって選挙権の停止不停止もこれに含まれるから法令違反も存しない。その他記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって、同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 谷村唯一郎)